本田技研にかってS8というスポーツカーがありました。
これはS800という名前の略称ですが、スポーツカーで800ccエンジンを搭載しているから命名されたものです。
最初はS360という当時の軽四輪車の規格で作られたのですが、
その後、S500となり、それがS600となり、更にS800になったものです。
S8の特徴は同じ車体にエンジンだ
けをグレードアップしたため、平らなボンネットではキャブレター部を覆えなくなり、その部分だけボ
ンネットが膨れ上がっていることでした。
当時、DOHCの高回転エンジンを積んだ軽量スポーツカーとして大変人気があり、S8だけのカーレースも開催
されていました。
この本田のS8人気に対抗してトヨタが作ったのが、空冷800ccのパブリカを利用してスポーツカーにしたパブリカスポーツでした。
これは、後にヨタ
8と言われますが、
トヨタは空冷水平対抗の軽量エンジンを生かして、モノコックの軽量ボディに、空力抵抗を徹底的に減ら
した形状で、車としての総合力で勝負を掛けたのですが、これが成功して、後に、800ccのカーレースを席巻
することになります。
ホンダは、このS600の発売とほとんど同じ頃、既に、アメリカで当たり前になっているカーレンタルの事
業に参入し、
レンタル車はすべて、このSシリーズのスポーツカーを使っていたのです。
但し、残念なことに、当時の日本ではカーレンタルは時期が早すぎたようで、結局、採算に乗らなかったらしく、間
もなく本田はこの事業から撤退することになります。
この時、使っていたS800を大量に中古で放出するのですが、私は
当時、そのS8が欲しくて資金の計算をしたことがありましたが、残念ながら置き場所がないので諦めた覚えがありま
す。
遥か昔のことですが、私の新婚旅行のことです。
このスポーツカーに乗りたくて、熱海でレンタルする予約をしました。
宿は確か冨士屋ホテルだったと思
うのですが、朝、地下の駐車
場へ行くと、本田の社員がS600を用意してくれて待っていました。
そして、このベージュのS6に乗って、伊豆へ入りサボテン公園などを見学してから箱根に向ったのです
が、途中箱根の山に掛った頃に寒くなったので幌を立て、夕方近くに山間を抜けて夕日に映える芦ノ湖を
眼下に見た時の景色が今でも鮮明に思い出されます。
箱根では、箱根ハイランドホテルに泊まりましたが、ここは、以前、団琢磨の別荘だったものを買収して
ホテルにした建物で、当時は別荘のままの豪華な建物でした。
奥の四間続きの離れに泊まって、平らな石を組んだ豪華な部屋付きの温泉風呂に入りました。
平成6、7年でしたでしょうか、三条市で同級生のグループが団伊久磨氏をお連れして、仲間の15人くらいで宴会をして話をお聞きしたことがありました。
その時に、伊久磨氏に、
このハイランドホテルのことを話しましたら、「前の二階の部屋が私の部屋でした。今は立て替えられて
います。」と話されていましたが、その二階の部屋も実は拝見しておりました。
しっとりした、素晴らし
く豪華な内装のお部屋でした。
今年のゴールデンウェークに何十年振りかでなつかしい箱根と熱海を訪問してきました。